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洋書を主とした読書&映画の感想(ネタバレしてます)が中心の、自分用のメモです。
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The Eyre Affiar
(Jasper Fforde)

文学探偵のサーズデイ・ネクストが主人公のシリーズ第一作。
未だにクリミア戦争がつづいているパラレルワールドが舞台で、ディケンズの小説の
登場人物が(現実世界で)死体となって現れるという、不可解な事件が起こる。

これ、あらすじをなんと説明すればよいのか分からない、ナンセンスな展開
なんだけど面白い作品でした!(思わず、こういう作品のレジュメを書くのって、
あらすじまとめるのが大変だろうな~と思いましたよ・・・)
文学作品のなかに入り込めてしまったり、本好きにはたまらない設定!

続編には"Something Rotten"なんてタイトルもあって(P.G ウッドハウスの
"Something Fresh"のパロディですよね?)つづきも読むのが楽しみです。



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The Life of Reilly
(Paul Burke)

 ショーンはロンドン在住。音響エンジニアだったのが、持って生まれた豊かな
低い声を活かして、CMなどのナレーターに転進して売れっ子に。ルーシーは
雑誌記者…だったのが、「下院議員に立候補して、選挙を実体験」という
企画取材をしたら、うっかりベテラン議員を破って当選してしまう。
で、その気もないのに政治家に転進せざるを得ないはめに。
そんな二人が出会ってからのお話。

 「理想の相手に会うのが10年遅すぎたら?」という、表紙のキャッチコピーから
想像したのと、ちょっと違う展開でした。っていうか、冒頭の少年時代のショーンが、
ある日目が覚めたら、一夜にして変声期を迎えて、バリー・ホワイトみたいな低音に
なっていた、というところから、成長するまでの過程+ルーシーの部分はクスっと
笑えて面白かった。…のに、二人が出会ってから一気に下り坂でした。

 二人を妨げるものがなさすぎというか、ショーンは「全てにおいて運が良い」とは
言っても、余りにも悩みも罪悪感もない(→展開からして、てっきり離婚済みかと
思ってたのに、妻子とはただ別居中なだけだって、後半にやっと気がつく始末
←)のも、
ルーシーがショーンのアイディアを躊躇いもなく鵜呑みにして満足してるのも、
物足りなさすぎる……。あとショーンの部分に、やたら固有名詞が連発されてたのが
うざかったです。イメージしやすいよう配慮したつもりかもしれないけど、
物で自分を定義する人みたいで、小物に感じてしまったというか。

 スラスラ読めるんだけど手応えが足りず、読者層はどこら辺を狙っているんだろう?
という疑問が始終渦巻きつつ読んだ作品でした。
Cold Comfort Farm
Stella Gibbons

ケイト・ベッキンセールのイギリスでの出世作となったという
テレビ映画版がすごく良くて、本国では名作として愛されている
という原作も読みました。


両親を亡くしたばかりのフローラ・ポストは、作家志望で
「50歳になったらオースティンの『説得』みたいな作品を書くの」
が目標。相続した遺産も微々たるものだったため、それまでは
親戚の元で小説のネタを集めつつ暮らすつもりでいる。
(フローラはまだ二十歳そこそこなんで、計画通りにいったら
あと30年は余所にやっかいになる計算なんですが……)

早速親類に手紙を出しまくり、行き先に決めたのは、一番奇妙な
返事をよこした従姉ジュディスの住むCold Comfort Farm。
ついてみると期待通り(?)、偏屈で変わり者揃いの家族が住んでいた。

叔母にあたるエイダ・ドゥームは、子どもの頃のトラウマを言い訳に
引きこもり生活をしつつ、一族全員を支配している。
(「あたしは森小屋で恐ろしいものを見たんだ」が口癖)

従姉ジュディスは、なにごとにも超悲観主義者。

夫のエイモスは教会で説教しては「地獄に落ちる!」と信者を脅すのが
生きがい。

長男のルーベンは農作業が大好きなのに、父&祖母が采配を振るう間は
全く思い通りにならず、くすぶっている。

プレイボーイなのに女嫌いな次男のセスは、密かなトーキー大ファン。

ポエマーな長女エルフィーンは、夢の世界に生きていて、しつこい
求婚者を降り切って、近所のお坊ちゃまと恋愛中。


こんな家族の中に「物事をきちんとするのが好き」なフローラが
乗り込んできて、勝手に改革計画を立てはじめる。

雇われ者のアダム爺やからは「ロバート・ポストのお子」と呼ばれつづけ
従姉ジュディスは「夫がロバート・ポストにした仕打ちの借りは必ず返す」
と謎のつぶやきを繰り返し聞かされつつも、全く怯まず
着々と改善を進めちゃうフローラ。ドラマでは何とも思わなかったけど
本で読むと「なんて勝手な、嫌な女!」と思いました(笑)
のんびりした時代のお話だし、終わり良ければ全て良し、で
丸く収まるんで良いんですけどね。


しかし長期にわたって、ふらりと現われた親戚を養うなんて
今の時代だったらありえなさそう。部屋があり余ってるお屋敷だったら
あり…か??でも無期限滞在予定で、フラフラしてるだけの居候
受け入れは、今だったらしないよねぇ。のんびりした良い時代だったのか、
受ける側にしてみれば、こんな面倒を抱え込む心配のない、今のほうが
良い時代というべきか……。
The Thirteenth Tale
(Diane Setterfield)

父の古書店で手伝いをしつつ、趣味で伝記を執筆しているマーガレットのところに、ある日年老いた有名作家ヴァイダ・ウィンターから、伝記執筆の依頼が来る。

これまで過去も私生活も明かすことのなかったヴァイダからの、突然の以来に戸惑いつつ承諾したマーガレットに、ヴァイダは謎めいた過去の物語を少しずつ明かしていく。


裏表紙のあらすじでは「古いお屋敷」「謎の双子」がキーワードと理解して手に取ったのですが、そこまでたどり着くのに結構あったので、思わず裏表紙を読み返して「ほんとにこの本の話…だよね?」と何度か確認してました(笑)

…というのは置いといて、語られる物語を聞く(読む)のって面白いんだよな~、と改めて思った!手に汗を握るような起伏があるわけではないのに、読ませる小説ってすごいと思いました。

全体を通して、本好きにはたまらない設定が散りばめられているのも魅力的でした。とくに古書店で育ち、大人になっても父を手伝っているマーガレットの生活はうらやましいな~。
The Pilo Family Circus
Will Elliott

ジェイミーはある晩、帰宅途中に道に不動の姿勢で立つピエロを轢きそうになる。
翌晩今度は3人のピエロが言い争っているのに遭遇し、偶然内一人が落とした粉入りの袋を拾う。中の白い粉はドラッグだろうと思い、友人のスティーブへのいたずらに使うが、そのせいでピエロたちに家を破壊され、サーカス団へのオーディションをスティーブ共に受けるよう脅迫を受ける。そして強制的に入団させられたのは、異世界にある不思議なサーカス団「パイロ・ファミリー・サーカス」。そこは暴力に満ち溢れた苛酷な環境で、生き残るには不思議な力のあるフェイスペイントをほどこし、意地悪でずるがしこいピエロ『JJ』になるしかなかった。


なにせピエロ仲間といったら変人ばかり。リーダーのゴンコはドラエモンのポケットみたいな、何でも出てくるポケットつきズボンを履いていて油断ならないし、ドゥーピーは特に弟のことが絡むと手がつけられないし、その弟で羊歯をガールフレンドにもつゴッシーは奇声を発する以外しゃべらない、ラフショッドはマゾ。どのピエロも暴力を振るうことに、まったく躊躇がない。しかも運営側が「サーカス内の活性化を狙う」という名目で、演目ごとにライバルを仕立て上げて(ピエロはアクロバット組がライバル)わざと反目させていて、ピエロはサーカス内でも特に嫌われているので、外でも油断はできない。

暴力には縁の無い普通の青年だったジェイミーが、フェイスペイントでまったく別人格のピエロのJJになると、ある意味開放感を味わうんだけど、JJの仕出かすことといったらジェイミーの理解も許容範囲も超えている。しかもジェイミーが「フリーダム」運動に巻き込まれたことで、「共同生活」もだんだん困難になり…。


って書いてると暗い話みたいだけど、パラニュークとかみたいなダーク…コメディっていっていいのかな、ユーモアのある作品です。なにせジェイミーが二度目にピエロたちに会った晩、一人は屋根の上に不動の姿勢で立ったままで、もう一人が「ゴッシー!降りてこい!そんなの笑えないぞ、ゴッシー!」って怒鳴ってる場面から、なんだか笑えるし。

オーストラリアの作家、ウィル・エリオットの処女作なんですが、異界のサーカスが不気味ながらも独特の世界観で、すごく読ませる作品でした。これからが楽しみな作家です!
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