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洋書を主とした読書&映画の感想(ネタバレしてます)が中心の、自分用のメモです。
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The Pilo Family Circus
Will Elliott

ジェイミーはある晩、帰宅途中に道に不動の姿勢で立つピエロを轢きそうになる。
翌晩今度は3人のピエロが言い争っているのに遭遇し、偶然内一人が落とした粉入りの袋を拾う。中の白い粉はドラッグだろうと思い、友人のスティーブへのいたずらに使うが、そのせいでピエロたちに家を破壊され、サーカス団へのオーディションをスティーブ共に受けるよう脅迫を受ける。そして強制的に入団させられたのは、異世界にある不思議なサーカス団「パイロ・ファミリー・サーカス」。そこは暴力に満ち溢れた苛酷な環境で、生き残るには不思議な力のあるフェイスペイントをほどこし、意地悪でずるがしこいピエロ『JJ』になるしかなかった。


なにせピエロ仲間といったら変人ばかり。リーダーのゴンコはドラエモンのポケットみたいな、何でも出てくるポケットつきズボンを履いていて油断ならないし、ドゥーピーは特に弟のことが絡むと手がつけられないし、その弟で羊歯をガールフレンドにもつゴッシーは奇声を発する以外しゃべらない、ラフショッドはマゾ。どのピエロも暴力を振るうことに、まったく躊躇がない。しかも運営側が「サーカス内の活性化を狙う」という名目で、演目ごとにライバルを仕立て上げて(ピエロはアクロバット組がライバル)わざと反目させていて、ピエロはサーカス内でも特に嫌われているので、外でも油断はできない。

暴力には縁の無い普通の青年だったジェイミーが、フェイスペイントでまったく別人格のピエロのJJになると、ある意味開放感を味わうんだけど、JJの仕出かすことといったらジェイミーの理解も許容範囲も超えている。しかもジェイミーが「フリーダム」運動に巻き込まれたことで、「共同生活」もだんだん困難になり…。


って書いてると暗い話みたいだけど、パラニュークとかみたいなダーク…コメディっていっていいのかな、ユーモアのある作品です。なにせジェイミーが二度目にピエロたちに会った晩、一人は屋根の上に不動の姿勢で立ったままで、もう一人が「ゴッシー!降りてこい!そんなの笑えないぞ、ゴッシー!」って怒鳴ってる場面から、なんだか笑えるし。

オーストラリアの作家、ウィル・エリオットの処女作なんですが、異界のサーカスが不気味ながらも独特の世界観で、すごく読ませる作品でした。これからが楽しみな作家です!
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